知覚過敏は虫歯と何が違うのか
知覚過敏というと、たんに歯がしみるだけで、放っておいても大丈夫、というイメージがあるかもしれません。ところがこのしみる症状は、虫歯の初期症状にそっくりなうえ、歯が欠けたり、削れたり、酸っぱいものの過剰摂取で酸蝕症になったりして歯が壊れてきている時にも起こる症状なので、油断大敵なんです。気がつかないうちに歯が傷んでいることもあるので、一度歯科医院に診てもらいましょう。
では、知覚過敏はなぜ起こるのでしょうか。知覚過敏は、歯の組織である象牙質を覆っている硬いエナメル質や、歯の根っこを覆っている歯ぐきが、何らかの原因で失われた時に、剥き出しになった象牙質から神経へと、象牙質のパイプ状の穴を外部の刺激が伝わって起きる痛みです。特に、歯が削れるほどごしごしと強く歯みがきをしたり、夜中に歯ぎしりをしていたりすると、歯の表面がはがれて知覚過敏症状を引き起こしやすくなります。
知覚過敏を治すためには、生活の中に隠れている知覚過敏のリスクを見つけて、その習慣や癖を改善することで、自然に治ることもあります。それは、象牙質の表面にスメア層という層が出来たり、唾液の成分などが結晶化(再石灰化)して沈着したり、歯の成分でパイプ状の穴が細くなったり塞がったりなどするためです。先ほどお話しした歯ぎしりやごしごしみがきの他、酸っぱいものの摂りすぎや、スポーツ飲料やビタミン飲料の摂りすぎ、歯みがき不足なども知覚過敏になるリスクを高めてしまうため、注意してください。
知覚過敏の症状は、いろんな歯の初期症状に似ています。そのため、その痛みが軽い知覚過敏によるものなのか、それとも歯の内部で炎症が起きはじめているのかを鑑別するには、経過観察が重要で、「これは知覚過敏だ」と即断するのは危険な、確定診断の難しい症状です。炎症や、問題になりそうな歯の傷みが検査で見つからない場合、知覚過敏を疑って最初に試すべきは生活習慣の改善、そしてもう一つが薬剤やコート材などの試しぬりです。そうした治療をしても痛みに変化がない場合は難治度が高いケースで、比較的大きな炎症が歯の内部で起きはじめていることも想定して、治療にあたる必要があります。難治度が高いと診断される場合、象牙質をレジンで覆ったり、古い詰め物を外して詰め治したりして、可能性があると考えられる治療法を軽いものから順に試していき、場合によっては神経を抜く治療が必要になることもあります。このように、知覚過敏の治療とは「受診して、即日治る」というケースばかりではないのです。知覚過敏の段階で歯科医院に受診をしておくと、ほかの歯の病気も発見できる可能性が高まるので、歯が発する知覚過敏という黄信号を見逃さないようにしましょう。
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|Posted 2021.9.17|