それ、本当に知覚過敏?経過を見ながら治療しましょう
歯科に受診したらすぐには原因がわからず生活習慣と歯みがきの指導、それと試しにコート材を塗って、「2週間ほど様子をみましょう」とのことで、次回の予約を取って帰ってきました。こんなんで大丈夫でしょうか?
「受診すればすぐに原因がわかるだろう」と期待したのに、さまざまな指導と、コート材を塗ってもらうだけで診療が終わり、びっくりされたかと思います。
でも、この診療は間違ってはいません。知覚過敏の症状は、神経で起きる炎症の初期症状ともよく似ています。「これは知覚過敏だ」と即断するのは危険な、確定診断の難しい症状なのです。
診察でもレントゲン検査でも「これだな」という原因が見つからない場合、まずすべきは、問診によって浮かび上がった生活習慣の問題を改善し、再石灰化層をつくって自然治癒をうながすこと。もう一つが、試しに歯を無色透明のコート材でおおってみて、知覚過敏の症状が治まるかどうか経過観察することです。
患者さんにとって、生活習慣の改善で自然治癒するのがベスト。知覚過敏のリスクに気づき、歯みがきや飲食物に気をつけると、それだけで治ってしまうかたも、私の経験では相当数いらっしゃいます。
歯を歯科材料でコーティングし、これですぐに症状が止まればしめたもの。この場合、歯の内部の炎症はとても軽く、外部からの刺激によって神経が興奮してしみる症状が起きていることを鑑別できるからです。
一方、コーティングで刺激を遮断したことに神経の興奮が治まってくるはずなのに、「それでも痛みに変化がない」という場合は、難治度が高いケースです。比較的大きな炎症が、歯の内部で起きはじめていることも想定して、治療にあたる必要があります。
難治度が高いと診断される場合、象牙質をレジンでおおったり、古い詰め物を外して詰めなおしたりして、可能性があると考えられる治療法を、軽いものから順に試していき、場合によっては神経を抜く治療が必要になることもあります。
このように、知覚過敏の治療とは「受診して、即日治る」というケースばかりではないので、ぜひご理解をいただきたいと思います。
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|Posted 2019.3.25|