不快な口臭のふか〜い話。
お口のお悩みの代表格、「口臭」。「スメハラ」なんて言葉が定着するくらい、お口のにおいは気になるものです。口臭と言うと、「歯はいつもみがいているから、胃腸が悪いせいかな?」とお口以外の原因を思い浮かべがちですが、ほとんどの口臭の原因はお口のなかにあります。
歯周病やむし歯、舌やお口の汚れがにおいの元となっていることが多いのです。口臭ストップの早道は、歯科治療とお口のケアにあり、お口のなかのにおいの元と対策についてお話しします。
口臭の容疑者はお口のなかにいます。全国47都道府県・4700人を対象に口腔ケアに関する意識調査を行った「口臭白書2019」では、90.6%の人が「自分の口臭が気になったことがある」と」回答しました。口臭は、やはり私たちみんなが気にしているものだというのがわかりますね。
ただ、口臭というのは、じつは誰にでもある程度は存在するものです。朝起きてあくびとともに息を吐き出したとき、「あ、口がにおうな」と思ったこと、ありますよね。でもその後、朝食を取ったり歯みがきしたりするうちに気にならなくなるはずです。これは「鼻が慣れた」からではなく、お口のなかのにおい物質は食事や歯みがきで減っているからです。1日のなかで自然に増減するこうした口臭は、専門用語で「生理的口臭」と呼ばれます。寝起きなどににおいが強くなることはありますが、一時的なものです(同じくにおいの強い食べ物による口臭も、一時的なものです)。
一方、強いにおいを持続的に発する口臭は「病的口臭」と呼ばれます。いわゆる不快な口臭と客観的に認識されやすいもので、においの原因がなくならないかぎり存在し続けます。原因には、歯周病などのお口の病気と、お口とつながっている耳鼻咽頭の病気、内臓などの体の病気が考えられます。よく「からだの病気のにおいが口からにおう」という話を聞きますが、からだの病気が発するにおい物質が血液に乗って肺に至り呼気として吐き出されるというのは、そうとう病気が進行した状態です。
また、「食べ物のにおいが胃から上がってくる」というのも、食道と胃の境界には括約筋があるため、ふつうはにおいの通り道は閉じられています。ですから、強い口臭の原因としてまず疑われるのは、お口のなかなのです。実際、当院の口臭外来でも、患者さんに口臭外来でも、患者さんに口臭検査を行って「客観的な口臭がある」と判断された場合、まずはお口の病気の有無を確かめます。「歯周病など、お口の病気はあるか?」を検査してから、「耳鼻咽頭の病気はあるか?」「からだの病気はあるか?」を診ていきます。先ほどの「口臭白書2019」によれば、日本人の平均歯みがき回数は1日1.2回でした。口臭は読んで字のごとく「口の臭い」なのですが、歯みがきは毎日しているという意識のあるせいか、においの原因がじつはお口のなかにあることを意識していない人が多いようです。
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|Posted 2020.5.15|