4タイプでわかる、顎関節症
「顎が痛くなる」「口が開かなくなる」「口を開く時に音がする」といった症状が起こる顎関節症という病気があります。多くの方が一度は経験したことがあるかと思いますが、こうした症状が起こる理由は、顎関節のどこに何が起きているかによって異なります。そしてそのタイプは、①筋肉痛、②ねんざ、③クッションのずれ、④骨の変形、の4つに分けられます。顎関節は、骨や筋肉などいくつかの組織からできていて、そのうちのどの組織に異常が生じたかによって、症状や治療の仕方が異なってきます。
まず、①の筋肉痛タイプですが、顎の関節ではなく、その周りに付着している筋肉に炎症が生じているタイプです。このタイプは放置するほど治りにくくなるため、慢性化する前に筋肉マッサージや開口ストレッチで筋肉をほぐすのが効果的です。
次に、②のねんざタイプですが、これは顎関節を包む組織に炎症が生じているタイプで、症状の改善にはまず安静にして炎症を抑え、痛みが治まってきたら、徐々に開口ストレッチをしてかたまった関節をほぐしていきます。このタイプも、対処が早いほど短い期間で治りやすいです。
続いて、③のクッションのずれのタイプです。これは、下顎と上顎の骨の間にある、関節円板というクッションのような組織の位置がずれてしまい、口を開ける時に音が鳴ったり、口が開かなくなったりします。このパターンの場合、ずれた関節円板を元に戻すことは難しいので、痛みを落ち着かせて、口を開けられるようにすることが、治療の目的となります。薬で痛みを和らげたり、開口ストレッチで口を開くようにしていきます。
最後に、④の骨の変形タイプですが、このタイプは中高年の方に多く、クッションのずれを長く放置して悪化すると、このタイプになることが多いです。治療はクッションのずれタイプと同じですが、長い期間を経てこのタイプに移行することが多いので、治療もそれだけ難しくなります。
顎関節症は複数の要因が積み重なって起こる疾患で、日常生活の無意識の癖が顎関節の負担になっていることも多いです。また、傷ついた顎関節を完全に元の状態に戻すことはできないため、痛みを和らげて口を開きやすくすることが、顎関節症の治療の目的となります。「元に戻る」のではなく、「気長に付き合う」ものとして、かかりつけの歯医者さんで見守ってもらうようにしていきましょう。
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|Posted 2021.7.26|