酸蝕症は現代病!?
私たちの歯を取り巻く酸の環境はここ数十年で様変わりしました。
季節ものだった柑橘類が一年中手に入るようになり、食卓では主菜にレモンやポン酢をかけ、デザートにオレンジやグレープフルーツが並びます。お酒も、果汁たっぷりのチューハイ、ワインが大人気です。
一方おやつは、コーラ飲料や柑橘ジュースがどこでも手に入ります。グミや梅菓子もとてもすっぱく、私たちの歯が強い酸と出合う機会は、うなぎのぼりです。
もう一つ注目すべきは、健康志向。柑橘系果物を毎日欠かさず食べ、飲酢する方が増えました。意識の高い人ほど熱心に続けるため、酸蝕症のリスクが増大します。
酸蝕症を防ぐために重要なのは、現代人が陥りがちな「酸性飲食物の過剰摂取」にまず気づいて止めることです。
過ぎたるは及ばざるがごとし。酸の摂取は、唾液が守ってくれる程度に抑えて、からだだけでなく、歯の健康にも気を配っていきましょう。
もちろん大人だけではなく子供でも酸蝕症はあります。
クラブ活動をしているお子さんは熱中症予防のためにスポーツ飲料を飲むことが多いと思います。あまり知られていないことですが、スポーツ飲料も酸性飲料のひとつ。クラブで、休憩ごとに飲んでいたりを続けていると、歯面全体がエナメル質の酸蝕症になることがあります。スポーツ中は口の中が乾燥し、唾液が口の中を洗い流してくれません。酸性飲料の影響をダイレクトに受けやすいので要注意です。
そのほかにも、食品の趣向によって起こりうることもあります。
干し梅のような酸っぱい食べ物を頻繁に食べ、奥歯のミゾに入り込んだままになったとします。そうすると干し梅の強い酸が、ずっと守ってきた健康な歯を短期間で酸蝕症にしてしまうこともあります。
酸蝕症だと診断されたり、酸蝕症が疑われる方は、酸で軟化した歯を歯ブラシで摩耗させないように、食後30分ほどしてから歯みがきしましょう。30分ほどすると歯を守ってくれる唾液の力が働いて、歯の硬度が戻ってくることが明らかになっています。また、歯ブラシは軟らかめのものを使いましょう。
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個別ページへ|Posted 2018.10.6|